常に人材の需要がある介護の仕事は、人が集まらないストレスフルで苦しい職種だと認識されがちです。
しかし実際に現場の中には、介護が好きでやりがいがあると自負している職員がいるのも確かです。そしてそのような職員には、いくつかの共通点があります。
まず、お年寄りが好きだということです。言葉としては、お年寄りに興味があるとか、人間自体に面白さを感じる、とさまざまな理由を述べていますが、要は人間が好きなのです。
お年寄りが問題と思えるような行動をしたとしても、その「好き」という気持ちは揺らきません。福祉の仕事はしんどいと率直に言っても、それ以上に、やっていて楽しい仕事で、毎日やっていても飽きないものです。そういう人たちは、自己実現が出来るとか職場の待遇がどうとかいうよりも、感覚的にお年寄りと接すること自体が好きなのだということが伝わってきます。
更に、そういう人たちはいつもニコニコしている、笑っているというよりも、心に引っ掛かりがないといったほうが良いでしょう。介護は人間相手なので、もちろん悩むこともあります。しかし、こうした人たちは立ち直りが早く、場を悲観的に考えないで前向きにとらえる発想力があります。
そして利用者さんとの人間関係で特に難しいとされているのが、認知症の方との関わり方。場合によっては人生の中で最も輝いていた時代に戻っている人も少なくありません。過去に警察署長だった人は、職員を当時の部下として接することもあるそうです。職員はうやうやしく敬礼し、その日の状況を報告・連絡・相談し、指示を仰ぐことになります。そうした一時的な演技に積極的に付き合うことで、その後の介護がいたってしやすくなるのです。
また、認知症の方は感情むき出しでぶつかってくるので、さまざまなことを学ぶことが出来るともいいます。相手の反応に一喜一憂することなく、「お年寄りが好き」という気持ちが根本にある人であれば、介護の中で立ちはだかる様々な困難の壁を乗り越えていけるはずです。